以下は、UNISON SQUARE GARDEN(以下USG)の音楽性・メンバー性質・方向性・歴史を、できるだけ客観的かつ評論としてまとめたものです。
(Ayu Ayu さんが長くブログを書いてきた知識量も踏まえて、「知っている話」より一歩深く掘り下げる内容に寄せています。)
1. 総評:UNISON SQUARE GARDENとは何者か
USGは、UNISON SQUARE GARDENという枠で語られることが多いが、実態は「ロックバンドのフォーマットを借りた高度なポップクリエイション集団」に近い。
J-ROCK文脈で理解しようとするとしばしばズレが生まれるのは、彼らの作品が「ロックらしさ」を求めず、構造の複雑さ・歌詞の速度・演奏の正確性・アンサンブルの幾何学性を優先してきたからだ。
USGが独自の存在として成立している理由は下記の4点に集約される:
- 異常なまでに作曲能力が突出した田淵智也
- 音源とライブの誤差をほぼゼロにするアンサンブル
- 歌詞・歌唱・ギターの三位一体で成立する斎藤宏介の設計思想
- “揺らがないリズム”を信条にした鈴木貴雄の設計的ドラミング
2. メンバーそれぞれの役割と美学
■ 斎藤宏介:
「感情を排した感情表現」という特殊な歌唱
斎藤の歌唱は、一見クールだが、実は“機能としての感情”をミリ単位で制御している。
● ビブラートは最低限
● ピッチは機械的な精度
● 息の量を一定に保つ
これにより、田淵の高速詞を情報損失なく届けるための媒体として機能している。
ギターはテクニカルというより「伴奏の最適化」を常に優先。空間を埋めないコードワークが多く、ベースラインの運動量との衝突を避けた“譲り”の美学が顕著。
また、メンバーの中で最も「USGを外から冷静に観察する立場」を持ち、作品全体の“品”をある一定ラインでキープする監督者の機能も果たしている。
■ 田淵智也:
作曲を「数学」に昇華した異能
田淵は日本のロックバンド史でも稀有な「ロックの衣を着たコンポーザー」。ベース奏法においては、
● コードトーンではなくラインの意味を組む
● 曲全体を俯瞰し、低音域にも“メロディ”を置く
● 打ち込みのような粒立ちの16分
という特徴がある。
作曲面では、
- ポリリズム/変拍子を自然に聴かせる構造化
- セクションごとの密度調整の巧妙さ
- 歌詞の圧倒的速度と情報量
がUSGの作品群の基礎を作っている。
田淵は「J-ROCKの文法に対する距離感」が常に明確で、“ロックバンドであってロックバンドらしさを求めない”という逆転の発想がUSGの方向性の中心にある。
■ 鈴木貴雄:
揺らぎのないリズムでバンドの“建築基盤”を作る
貴雄のドラムは「派手ではないのに、圧倒的に難しい」というタイプ。
- ゴーストノートを極端に整理
- 3人バンドの穴を一切作らない
- スネアの位置と音量が常に均質
…という“建築的リズム”が軸になっている。
USGのライブが「音源とほぼ同精度」だと言われるのは、このドラミングの安定性に負うところが大きい。
3. 音楽性の特徴
■ ① メロディの強さと複雑性の両立
USGは「難解に見えて実は超ポップ」という(初期ACIDMANやRADとは異なる)独自路線を持つ。
田淵のメロディは速いが、語感の中毒性の高さで聴き手に“正解のフレーズ”を無意識に覚えさせる。
代表例:
- 「シュガーソングとビターステップ」 — 複雑なメロディなのに国民的曲へ
- 「オリオンをなぞる」 — リズムの難度とキャッチーの奇跡的同居
■ ② 歌詞:情報量の塊を「意味より景色」で届ける
田淵詞はしばしば「理解しにくい」と言われるが、目的は言葉の意味ではなく“速度と音響としてのイメージ”。
斎藤の無機質で滑らかな歌唱がそれを成立させている。
■ ③ ミニマム編成による“空白の美学”
3ピースであることを最大限利用し、「余白の設計」が非常に巧い。
特にギターが引く場面の多さはJ-ROCKとしては異例。
■ ④ ライブは「作品の再構築」ではなく「作品の再現率向上」
USGはライブで大幅アレンジをしない。これは「既に完成した構築物を正確に届ける」という姿勢。
逆に言えば、ライブでの“乱れ”が作品の価値を損なうと理解しているほど、作品至上主義。
4. 歴史と方向性
■ 結成(2004〜2008)
高校〜大学の延長線に「偶然よくできる3人」が揃い、音楽性を模索。
この時期から既に、
- 田淵:楽曲の“設計者”
- 斎藤:構造を精密に歌う“エンジニア”
- 貴雄:揺らぎを許さない“支柱”
の役割は明確だった。
■ メジャーデビュー〜「オリオン」でのブレイク(2009〜2012)
“アニソン”で注目されたが、本質はアニソン枠より遥かに広く、
**「USGという形式」**が確立した時期。
■ 「シュガビタ」の国民的ヒット(2015)
知名度と一般層への浸透がピークに到達。
しかし、バンドは“ポップ側”に寄りすぎることを避け、作品の難度を落とさない道を取った。
■ 近年(2018〜2024)
USGは一貫して“深化”に向かう方向性を維持。
- アレンジの構造化
- ライブの精度向上
- 歌詞の抽象度維持
- バンドの外側(斎藤の
SideChest➡TenTwentyの間違い、筆者注、田淵の提供曲)とのバランス
どれも「USGを中心に据えたまま」成立している。
彼らは流行や外的需要に合わせず、“USGが最もUSGらしく存在できる領域”を探る旅を継続している。
5. 評論としての結論
USGとは、
「3人である必然性」
「構造美をポップスに落とし込む技術」
「ライブで説得力を持つ精度」
の3つで成立する、非常に稀有なロックバンドである。
ロックバンド史の中でも、
- RADWIMPSのような“言語の奔流”
- BUMP OF CHICKENのような“物語性”
- ASIAN KUNG-FU GENERATIONのような“美しいロック文法”
とは全く別の軸で、
“構築音楽”としてのポップ/ロック
を確立した存在だと言える。
ただ、隙間はほぼないんじゃないんですかね?
隙間のないバンドだと思ってますけど。
あとライブアレンジが全然ないって言われるのもちょっと…