PACAOさんが推薦された「パンドラの匣」読みました
昨日PACAOさんが言ってた太宰治「パンドラの匣」読みました。
助かる青空文庫!
一言で言えば、太宰っぽくないです。
でも反面、太宰っぽくもあります。
私はPACAOの知り合い(はっきりいえば田淵さん)のように、太宰を大好きなわけではありません。
でもすごいな、と思うこともあって、「カチカチ山」なんかは「アナタおっさんなのに、なんでそんなに女の子の気持ちがわかるの?」と思うくらいです。
短いのでぜひ読んでみてください。女の子、本当に残酷ですが、あれは今も多分通じるものだと思います。(御伽草子)
「パンドラの匣」はその「なんでそんなに気持ちがわかるの?」と思う方の作品でした。
これはもうこの世にいない、太宰の知り合いの人の日記を元にしています。
だから暗いわけでもないし、肺を病んでより無理をするあたりは梶井基次郎を、周りの人にあだ名をつけるあたりは「坊ちゃん」を思い浮かべながら読みました。
主人公は若い男の人で、友達への手紙という体裁で話が進みます。
なので、客観的視点に立っていないのです。
小説なのに、地の文が正直ではないのは困ります。最後の方で、「えっ本当はそうだったの?」と思ったりしました。
でもまあ、渦中の人というのはいつも物事を俯瞰しているわけではないのが真実だと思うので、こんなものかな、と思います。
刺激のない環境で精一杯の刺激を受けて、泣いたり笑ったりそうだったのかと思ったりしながら、青年は戦後を生きようとする、そんな話かな、と思います。
何もでかい事件は起きませんし、何日以内に戻らないと友達のクビが飛ぶ訳でもありません。
でも、ふわふわする心情をちゃんと描けているのがさすがだなあ、と思いました。
PACAOさん読んでね…