『啄木鳥探偵處』終了。『ゴンドラの唄』とわたし。

『啄木鳥探偵處』終わりました。
啄木が亡くなるところは出てきませんでした。
金田一さんと啄木はあの頃(啄木が死ぬ頃)は全く別々に暮らしていて、お互い家庭を持っていたのですが(金田一さんと啄木が「蓋平館」に住んでいたのはほんの数ヶ月です)、まあそれはいいでしょう(死ぬまで借金しまくってたのは本当だし)。

これ、多分原作は全然違ってて、一話完結なんでしょうね。全ての事件がああやって収斂されていくって、あんまりないし(でも毎回出ていたのは彼女だけだったので、だいたい想像はついていましたが)…

啄木の死に目を看取った若山牧水が酔っ払っていたり(彼は大酒がもとで亡くなりますが、亡くなってもお酒の匂いがしたとか、アルコール漬けみたいな状態で遺体がいつまでもきれいだったとかという話は有名)、なんだかんだ言って金田一さんが本当にいい人(無心があるとお金を貸しまくってたとか)なのはいいけれど、
・史実とはいえ啄木がクズすぎる
・萩原朔太郎陰キャすぎ
・野村胡堂、金田一さんと同級生なの触れられず
・『ゴンドラの唄』を言わせるためだけの吉井勇(『ゴンドラの唄』発表は啄木の死後、大正4年)
・いくら漱石と啄木の交流があったからって、全く存在意義の解らない芥川龍之介
・子供すぎるのに探偵やってる平井太郎

はいかがかと思いました。
平井太郎くんは最終回で、「今、団子坂を舞台にした小説を書いてます!」と言ってましたが、
その「団子坂を舞台にした小説」=『D坂の殺人事件』(明智小五郎初登場作品)を出すのは啄木の死後15年、大正15年です。ちょっと早すぎないか??
(注・平井太郎は江戸川乱歩の本名)
前もトリックが「二銭銅貨」まんまの回がありましたし…

文豪だとか時代を下手に知っていると、こういうところで変なことされると嫌なんだよなあ…と、ちょっと思いました。

最後のシーンが一回目冒頭だったのは良かったかな。でも『悲しき玩具』が出たのは、啄木が亡くなって割とすぐだったんだけど…


ここからは個人的な話になります。
前に書いたと思いますが、私は大学で国語学(現在の日本語学)を専攻していました。国語学を教えてくださった恩師が、自ら開発した日本語プログラミング言語に『朱唇』という名前をつけ、かつ私たち教え子には
いのち短し「学べよ」乙女
あかき唇褪せぬ間に
と教えてくださいました。
歌のとても好きな師だったので、『ゴンドラの唄』は青春を勉学に費やす女子にぴったりと思われたのかもしれません。

そしてそんな恩師が、親愛の情をもって「春さん」と呼んでいたのが、金田一京助さんの息子さんで、高名な国語学者の金田一春彦さん(秀穂さんのお父さん、と書いたほうが通りがいいのかな?)です。
春彦さんは啄木について「石川五右衛門の弟かなにかかと思っていた」とおっしゃっているので、啄木のタカリがいかに凄まじかったか(そしてそれを京助さんの奥様がいかに迷惑に思っていたか)がわかります。

そんなわけで、金田一京助さんが出てきてゴンドラの唄が流れる、というだけで、私には特別な作品でした。
(そして、京助さんを演じたのは娘の好きな櫻井孝宏さんだし!)

この時代大好きだし、実在の人物が出てくるのも大好きなので、こういう作品をまたやってほしいな。

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