映画「国宝」見てきました(少しのネタバレ?あるのでネタバレ嫌な方はリターン推奨)
昨日「国宝」見てきました。
ネタバレも多少あるので、画像を貼ったりいろいろして一覧では読めない位置まで字を書いておきます。
それにしてもほぼ満員でしたよ!
すごいです!
そろそろいいかな?
━━━━━━━━━━
約3時間あると言われ、トイレとか飽きを心配していましたが、全く長く感じませんでした。
舞台のシーンがあるので、さらにそこで集中してしまってむしろ「なぜ全部見せないのか!」と思っちゃいました。あと舞台のところ、拍手したかった!
・喜久雄(吉沢亮)の少年期の子が上手い
どんなに上手いかというと、引き取られる前のいわゆる「才能の片鱗を見せてはいるが素人芸」というのがめっちゃうまいんです。体幹がしっかりしていない、でも色気はある、みたいな。
あれには渡辺謙じゃなくてもハッとしてしまいます。
・「昭和史」が割と正しく流れとして描かれる
最初は1964年、最後が2014年の50年間のお話です。
1964年なんてめっちゃ昭和!
しかも急に「仁義なき戦い」が始まる!
プラス、喜久雄が部屋子になる理由が「親戚はみんな原爆症で死んだ」うわぁー長崎だったわそういえば!戦後のこのいろいろが悪かった(景気は良かったけど)時代背景も分かります。
あと、地方で興行を打つ時にはヤクザにお世話にならないといけなかったというむかーしの文化も。
途中から「オレ中学生だったな」「オレもソバージュだったな(遠い目」みたいに、自分の追体験にもなりました。
横浜流星がその辺の時代だとダブルのスーツ着てたりして「いやー改めてこの時代ってなんだったんだ!だせぇ」と思ったり。横浜流星にしてもダメな服だとダメです。
そういう昭和史としても楽しいです。
途中で写真週刊誌が登場していろいろ暴かれるんですが、これも「時代」ですね、と思いました。
・(残念)歌舞伎の場面が一部
まあ、全部見せたら5時間くらいかかると思うので、仕方ないんですが、「曽根崎心中って最後どうなるんだっけ?」と思いました。
・(残念)歌舞伎のシーンで「大向う」(掛け声)がひとつも無い
ちょっと不自然です。
・(ちょっとだけ残念)綾乃(漢字がこれでいいかわからん)との絡みがしつこい
最後のところではなく子どもの時の話です。
「たまにしかお父ちゃんが来ない」「お母ちゃんが芸妓」「次はいつ来るの?と言ってる」で察することができるので、「襲名披露で無視するお父さん」は要らなかった気がします。でもあれがないと分からない人が多いのかな?
・実際とは多分違う
実際は15で部屋子になってあんなに活躍するのは難しいと思います。
また、ドサ回りからの復活って歌舞伎役者には難しいのでは、と思いました。ドサ回りへの転落というのもあまり聞かないような。
スポンサーとの関係もよく分からず…ただ三浦貴大さんはすごいうまかったです!
・使えねえ渡辺謙
渡辺謙は最後晩節を汚しながらもやっぱり業を見せるんですが、結局息子が可愛くてヒドス。
あと糖尿病で目が見えなくなることはあれど、血を吐いて死ぬはないと思うのよ。
・田中泯が凄い
この「凄い」は凄まじいの意味です。
本当の歌舞伎の人間国宝なのかもと思わせるような舞でした。さすがダンサー。
(やっと本題)
【2人の男の「業」】
歌舞伎をやるという業を背負ったふたり、1人は「血筋しかないのではないか」と悩み、1人は「血筋がない」(血を飲みたいとまで願う)と慟哭するのが素晴らしかったです。
で、血筋のボンボンの方がグレるとか意地悪をするとかではなく、性格がよくて。(少々弱くはあるのですが)
横浜流星は首が長く肩が撫で肩なので、女形としてのスタイルがすごくよかったです。
吉沢亮は肩が張っているのですが、姿勢・体幹すばらしく、まあよくあの姿勢保てるな?と驚きました。
あと女形になった時綺麗すぎる。
どちらも女形として普通に通用する舞であり演技でした。
声もあんなに高いのをどうやって出すように訓練したのか…
横浜流星の業(にしてもあそこまでになる前に薬でコントロールできたと思うのよねいくらなんでもね)へのこだわりが最後に出てきて、飄々としているようで最後まで歌舞伎役者でいたかったんだな、と思いました。
喜久雄の見たかった「風景」は…流石にここのネタバレはしませんが、なるほどと伏線回収できてよかったです。 あとタイトルも回収できました。
というわけで、2人の男の歌舞伎役者としての波乱万丈な50年、といえば一言で済むのですが、とにかく「凄まじい」映画でした。
これを配信倍速なんかで見るのはもったいないです。歌舞伎のシーン(多分役者は全部やってる)を含めてちゃんと見て欲しいです。